【TESEN文庫 第12話】衣替えって日本だけ?

JOURNAL|TESEN

大阪シェアハウスの運営スタッフSHUです。

 

シェアハウスで働く私が気ままに連載小説を書いております。

 

「シェアハウスってどんなところ?」「どんな暮らしがあるの?」

 

この小説はそんな方へ向けて書いています。

 

ときどき実話なフィクションです。

 

一緒にシェアハウスの暮らしをのぞいてみませんか?

 

シェアハウスで起こる素敵なことが少しでも多くの人に届いたら、そして豊かな暮らしを多くの人に。

 

|前回までのお話


10月に入ったがハンカチは額の汗を拭くだけの仕事ばっかり。

 

朝夕は涼しい。

 

扇風機がたぶん今シーズンはないであろう出番を伺い、こっちを向いている。

 

沖縄旅行で買ったアロハシャツが目に留まる。

 

いろんなシーサーがいろんな方向を見ているアロハシャツ。

 

現地で「大阪に戻っても普段着として着れそう♪」と思って買った。

 

大阪に戻ってきて袖を通したことはない。

 

「夏に、海に行く時は着れそう♪」と思った。

 

まったく着れない。

 

海にアロハシャツを着ていく女性になりたくない。

 

そんなただの思い出しかないアロハシャツがクローゼットのスペースを奪っているので、ここで衣替えとする。

 

シェアハウスに来てから、これから半年は着ないであろう服を半年に一回実家に送っている。

 

私の部屋は6畳一間。

 

全シーズンの服は置き切れない。日本の四季はたま〜に煩わしい。

 

フィリピン人のシェアメイトがアウターを着るのに興奮していたのを思い出した。

 

一年中夏のフィリピンでは一年中半袖、半パン、ビーサン。

 

アウターを着る機会がないみたい。

 

ユニクロの試着室でアウターを着るだけであんだけはしゃぐ人はたぶん日本にいない。

 

彼女はちょっと暑くてもアウターを着て、コンビニに行く。

 

雪なんか降るとたまったものじゃない。

 

顔ぐらいある大きなスマホで何枚も雪を撮る。掴む。食べる。

 

公園にいるどこのキッズよりも雪を楽しむ。

 

半袖、半パン、ビーサン。一年中同じ格好は楽だけど、どこかおしゃれの幅はちょっと狭まる気がする。

 

フィリピンのファッション雑誌は一年中夏特集をしているのだろうか。

 

フィリピンが一年中夏だということもシェアハウスに来るまでは知らなかった。

 

鈴虫が外で鳴きはじめた気がした。

とりあえず、要らない服といる服を分ける作業に入る。

 

断捨離の本を最近買って読んだが、断捨離の本が狭い部屋に1冊増えただけだった。

 

すると季節外れの買ったばかりのダウンを着たフィリピン人がドアから顔をのぞかし入ってきた。

 

「なにしてるの〜」と彼女

 

「衣替えしてんねん〜」と私

 

「ころもがえ?」と首をかしげる彼女。

 

「しばらく着ない服と、これから寒くなる時に着る服を入れ替えるねん〜」と私。

 

「へぇ〜変なの。」と不思議そうな彼女。

 

そうだよね、たぶん1年中夏のフィリピンには衣替えがないんだろうね〜。

 

箱に入りきれない服を見て何か言いたげな彼女。

 

「それどうするの?」と彼女。

 

「う〜ん。どうしようか。」

 

「もう着ないの?」と食い気味に彼女。

 

「うん、着ないよ」

 

「じゃあ私着てもいい?」

 

「うん、いいよ!」

 

彼女は箱から溢れた他の服も並べて、楽しく選んでいる。

 

すると他のシェアメイトも集まってきた。

 

6畳一間に5人は居る。

 

とりあえず廊下に服を並べる。

 

みんなが品定めをしている。

 

ちょっとしたフリーマーケットが始まった。

 

結果実家へ送る荷物は箱一つにコンパクトになった。

 

今年に入って一回も着てない服もあったから結構断捨離できた。

 

シェアハウスでは、退去する人が旅立つ日はフリマ状態になる。

 

自分では買うほどでもないけど、あったら欲しいモノを狩りに来る笑。

 

洗濯洗剤とかは結構人気だ。

 

衣替えもー段落し、リビングに行ってみると。

 

私があげた服でファッションショーが始まっている。

 

意味が分からないけど、私のワンピースを元海軍のオーストラリア人が着ている。

 

はち切れそうな布が悲鳴をあげている。

 

結局その日は、私の服を着たみんなとごはんを食べて寝た。

 

翌日。

 

会社に行くために歯を磨いているとフィリピン人の彼女が隣にやって来た。

 

「おはよう〜」と眠たげに私。

 

「おはよう〜!!」とパワフルな彼女。

 

口をゆすいで眠たい目をこすりながら顔を上げると、見たことのあるシーサーと目が合った。

 

私のあげたアロハシャツを来ている笑

 

「昨日あげたやつやん。」と私。

 

「そうそう!この犬かわいいねぇ!」と彼女

 

本当に嬉しそうで、気に入ってる様子。

 

なんだか嬉しい。反面、あんだけ気に入ってる様子を見ると私も着てみたら良かったと後悔。

 

朝からちょっぴりハッピーな気分で今日も仕事に向かう。

 

シーサーが犬かどうかは置いといて。

 

続く。

 

|前回までのお話

一年中の常夏の国か、四季のある日本。住むならどっち?

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